ANCHORS動物病院未来研究所

2025年12月11日

ハラスメントと業務上の注意の境界線

パワハラを怖がって注意が出来ない

私が前職で人事担当をしている時、営業課の課長たちと話をする機会がありました。
彼らの話では、部下に対して注意したいと思っているけど、パワハラと言われるのが怖くて注意できないということでした。
すごく違和感のある内容だけれど、今の中間管理職が感じている実感なのかと思いました。
おそらく、そのように感じている人は多いのではないでしょうか。

業務を行う上で、上司が部下に対して注意することは、必要なことです。
しかし、パワハラを必要以上に恐れて、注意が出来ないということは、行うべき業務が正しく行えない可能性が高くなります。
それでは、企業の存続それ自体が危うくなりかねません。

企業の存続には、利益が必要である。利益の根源は何かと言えば、それは顧客へ提供するサービスもしくは成果物です。
それらを生みだすためには、企業は、正しい業務を行うことが必須条件になります。
そうするためには、管理監督者である上席者の指導や注意は、必要になります。

特に、それが命を扱う職場であれば、一つの手違いで命を危険にさらすことになるので、上席者の適切な管理監督と注意は必要不可欠です。
今回は、正しい注意とはどうすれば良く、パワハラと言われないのかについて、説明して行きたいと思います。

パワーハラスメントの定義

厚生労働省では、職場のパワーハラスメントを、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。
また、パワハラの行為の類型として、

  • ㋐暴行・傷害などの身体的な攻撃
  • ㋑脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言等の精神的な攻撃
  • ㋒隔離・仲間外し、無視といった人間関係からの切り離し
  • ㋓明らかに不要なことや達成不可能な業務上の過大な要求
  • ㋔あきらかにその人の能力以下の単純作業などを強いる業務上の過小な要求
  • ㋕私的なこと(プライバシー)への侵害

の6つを例示列挙としています。

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この記事を書いた人

特定社会保険労務士 大田恭生
特定社会保険労務士 大田恭生
東京都社会保険労務士会研修委員
社会保険労務士会江東支部広報委員長

【保有資格】
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、メンタルヘルスマネジメント2種、HSK(中国語)6級

【略歴】
1988年:商社入社後、繊維事業部で営業職。上海での業務経験11年、人事部門、子会社役員を経験し、退社。
2024年:おおた社労士オフィス 開業。

【執筆】
裁判例分析にみる労務トラブルの争点と対応実務
2025年9月(中央経済社)出版 
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