今回はJASMINEミニセミナーのご紹介です。循環器科より「心タンポナーデ」についてお話ししております。
ここでは、動画の内容を概説いたします。
セミナーテーマ:⼼タンポナーデの病態⽣理・⼼膜穿刺
講師:JASMINEどうぶつ総合医療センター 循環器科 ⾼村⼀樹先⽣
この動画は2020年7月23日に行ったミニセミナーの動画になります。
心タンポナーデとは
心膜腔は、壁側心膜と臓則心膜の間のスペースを指します。
心膜液/心嚢水はこの心膜腔に存在する液体のことで、生理的にも存在します。
心タンポナーデとは、心膜液/心嚢水が正常よりも貯留したことにより上昇した心膜内圧が心臓の拡張期圧を超え、心臓の拡張・収縮機能を障害する病態です。
臨床症状の発現には心膜液の量、貯留速度、心膜の伸展性が関与します。
病態生理
心タンポナーデでは、心膜腔の内圧の上昇による心室拡張期充満の障害により以下の臨床兆候が認められます。
慢性経過:静脈圧上昇→後大静脈のうっ血→経静脈怒張、肝腫大(±腹水)、末梢浮腫 急性経過:1回拍出量減少→心拍出量減少→低血圧→反射性頻脈
原因疾患
犬の心膜液貯留の原因疾患としては、血管肉腫・心基底部腫瘍・中皮腫などの腫瘍性が約7割を占め、その他に特発性、うっ血性心不全、左房破裂などがあります。
猫の心膜液貯留の原因疾患としては、心筋症などの心疾患、輸液負荷、腫瘍、特発性、FIP、心膜横隔膜ヘルニアなどが報告されています。